平成26年度予算審査
堺は太一。うえむら太一です。
12日13日の2日にわたり、平成26年度の予算審査特別委員会が開催されました。
大阪維新の会堺市議会議員団としては、結論から言うと反対の意を示しました。
ソフト面が精査が進まないままハードを建てようとして
おり、その為事業収支の甘さが見られることなどを理由としております。
以下原文を掲載いたします。
平成26年度予算審査特別委員会討論
(大阪維新の会堺市議会議員団)
私は、大阪維新の会堺市議会議員団を代表いたしまして、平成26年度の各会計予算及び関連議案に対しての意見を述べさせていただきます。
はじめに、あの悪夢のような東日本大震災の発災から、この11日で、まる3年が経過いたしました。改めて、被災された方々へのお見舞いとお悔やみを申し上げ、加えて、速やかなる復興と安定した生活を祈念してやまないものでございます。
言うまでもなく、今回示されました平成26年度の各会計予算案は、竹山市長2期目の4年間の方向性を示す重要なものであります。
それでは、まずは財政運営について申し上げます。
堺市の市債の起債状況につきましては、将来世代に過大な負担をかける水準ではないとのご説明でしたが、平成26年度においても679億円と増加しており、臨時財政対策債が209億円、新病院建設貸し付けが161億円、また、学校園整備事業が37億円、阪神高速大和川線事業が37億円、そして、道路整備事業が33億円、阪神高速への出資21億円などが主な内容であります。
市債の発行につきましては、実施する事業の採算性のみならず、長期的な住民福祉向上への効果、世代間の公平性の担保について、厳密に判断していくことを求めます。
次に、まちづくり関連の予算と施策について意見を申し述べます。
いうまでもなく、堺市政において、中心市街地の活性化は最重要課題となっていることから、この中心市街地をどのように活性化するのかという骨太の基本方針が必須であると、昨年度の予算審査においても指摘いたしました。
今回、大浜北町市有地の活用事業の予算が計上されています。この事業は、民間事業者と20年間の定期借地権契約を交わし商業施設を運営するものですが、そもそも民間事業者の選定段階から疑問を申し上げてまいりました。
本予算案には7億8千万円余りが計上されていますが、本年2月に締結されるはずの定期借地権契約がいまだ締結されておらず、見通しも立っていないとのことです。また、契約締結に先立つ銀行との間の事業収支計画も策定されておらず、もちろん融資の決定もなされていません。
この事業が着手されるか否か不明の段階で予算審議すること自体時期尚早であり、本予算案はそもそも審議に値しないと考えます。契約締結後に改めて提案を行うべきです。
市民会館の建て替え事業につきましては、その利用者収入の計画について大きな危惧があります。
われわれは、採算性の低い現地建替えにはこれまでも反対してきました。新規に建替えが計画されている新市民会館は総工費140億円、そして2,000席の大ホールを擁する大規模なものです。しかし、その採算性を試算すれば、現在の市民会館が年間約1億円の収支赤字であるのに対し、新市民会館は起債の利息を含めれば年間3億円以上の収支赤字が予想され、現在よりその運営はひっ迫することが確実であります。これでは、市民の理解を得ることなどできません。新市民会館の建替えにつきまして抜本的な見直しを求めます。
続きまして、中心市街地における交通については、都心交通検討会議において、都心の東西交通軸に関し、有識者により議論を進めているとのことですが、まずは、堺市当局や様々な会議体などの任務・責任を整理し明確化しておくことが重要であります。
堺東駅西地域につきましては、中瓦町2丁地区再開発事業が平成23年12月に竹山市長により廃止されて以来、その代替となる中瓦町を含む商店街エリアでの市街地整備はなんら提案がなされていません。この事業は、竹山市長が自ら主導して廃止したものであり、竹山市長から新たな整備の提案をすることが、この地域のまちづくりに必然であると考えます。この地域を見捨ててはならず、猛省を促したいと思います。
歴史文化にぎわいプラザにつきましては、かねてから歴史文化施設は旧市街地ではなく大仙公園に集約すべきと提案してきましたが、現状、旧堺病院跡地で建設が着手されています。
施設の主要テーマである千利休や与謝野晶子では、総額36億円にも上る建設費をかけた施設において、採算性が取れないであろうと指摘してまいりました。今回の議論の中で明らかになってきました年間の収支赤字は約1億5千万円程度と予想され、以前にわれわれが提示した収支予想から改善されているとは言い難いものです。したがって、更なるコストの見直しと集客の増加策そして収支の改善を求めます。
現在、市民交流広場の整備、市民会館の建て替え、ジョルノビルの再開発と、これに伴うペデストリアンデッキの改修・再整備などを具体的な事業として、中心市街地活性化基本計画の策定に取り組んでいるとのことです。しかし、現状ではその個別事業を積み重ねるばかりであり、それらをつなぎ面として一体とさせる考えが見受けられません。
また、観光施策の要諦は、来訪者、とりわけ宿泊客の増加であると考えます。堺市からどう発信するかはもちろん大事ですが、堺市外や海外のみなさんからの視点で、堺市に足りないものをひとつひとつ洗い出し克服する努力を求めます。
大阪観光局と緊密な連携をとりあい、外国人観光客を含め、その周遊ルートやニーズを、すなわち、観光客がどのようなルートで回っていて、どういうものを求めているかというものを把握し、堺市における滞在時間を長くしてもらう方策の検討を含め、堺市の観光集客に努めていただくよう要望いたします。
次に、泉北ニュータウンの再生について申し上げます。
本定例会でも話題となりました近畿大学医学部および附属病院の移転により、泉北ニュータウンでは昼間人口や雇用の増加が図られ、ニュータウン全体の再生に寄与すると考えます。移転地域の皆さんに対して丁寧な説明を行うとともに、泉北ニュータウンの将来像と相乗効果を生むような連関をさせていく努力を求めます。
続きまして、泉北高速鉄道の運賃値下げを初めとする利便性の向上が実現すると、泉北ニュータウンにおける住宅地としての魅力も向上することが期待されます。
しかし、泉北ニュータウンの再生は、このことによって出発点に立ち戻っただけであり、堺市としては、他力本願ではなく自力で、これからのニュータウン再生への道標を示さなければなりません。
今後は、泉北ニュータウンの各駅へのアクセス改善策など、高齢者だけではなく、全世代にとって、堺市がもっと主体的に担うべき課題に対して、待ちの姿勢ではなく、攻めの姿勢でおこなうことが必要です。
大阪府におきまして、大阪府都市開発㈱(OTK)の株式売却が随意契約で南海電気鉄道に売却する方針が決定されました。前回の提案以上の利便性向上が期待されます。今後、大阪府が進める具体的な折衝を注視しなければなりません。
中でも、中百舌鳥駅での泉北高速鉄道と地下鉄の乗り継ぎの利便性につきましては、課題解決に多額の事業費や期間が必要となることは理解いたしますが、これが実現すれば、泉北ニュータウンの資産価値が更に上がることになります。大阪府、大阪市と一体となり具体的な検討と行動を求めます。
次に、教育施策のうち、公立中学校の給食についてであります。
堺市の中学校の昼食は家庭弁当を基本とし、その補完としてランチサポート事業を実施しています。しかし、中学校の昼食は教育面とともに、生徒に対する栄養面、そして、弁当を作る保護者の負担軽減の面からも、かねてより給食を早期に実施するよう要望してきました。
これまで、大阪府が中学校給食導入促進事業補助制度を導入したことにより、大阪府下の市町村では中学校給食の整備が進み、さらに平成28年4月以降府下の市町村で中学校給食が実施されないのは堺市のみとなる見込みです。大阪府民でもある堺市の中学校生徒の状況を憂慮し、松井知事は差等補助を解消し補助制度の要項を改定して、政令指定都市である堺市まで対象を広げ、手を差し伸べましたが、竹山市長は本定例会で決断できませんでした。
その決断できない理由の一つに、この補助金交付要綱にある本年3月31日までに中学校給食導入実施計画書の作成が必要とされており、決断まで時間の猶予がないことが挙げられました。
しかし、3月13日本日行われました大阪府議会教育常任委員会におきまして、大阪維新の会の中野稔子議員の質問に対し、中原教育長からその実施計画書の提出を平成27年度の予算編成が始まる本年秋までにできるだけ行っていただきたい。また、本年秋までに間に合わない場合、合理的な理由があれば知事と大阪府財務部と図って検討していきたい旨の答弁があったところです。これは、堺市の中学校の生徒たちだけが給食サービスを受けられない状況を無くすために、最大限配慮するということだと思います。
本日の大阪府の教育長の答弁はまさに、堺の子どもたちにとって天佑ともいうべきものと考えます。
大阪府から少なくても半年間検討する猶予を与えられたわけですから、堺市は直ちに検討するための期間延長を申し入れ、大阪府教育委員会と十分協議し、そのうえで堺市議会の5月議会、9月議会にてしっかりと議論して、子育てのまち堺を標榜する以上、堺の子供たちの教育のため、また多くの保護者の期待に応えるために中学校給食実現に道を切り開くべきと考えます。
次に、都市内分権についてのうち、区役所の役割についてですが、本予算案におきまして、区民から教育に関する意見を聞く場である(仮称)区教育審議会、いわゆる区教審の設置・運営及び教育に関する相談窓口の設置にかかる経費が計上されております。
しかしながら、現行の教育委員会組織で何が問題かは明確ではなく、校区の当事者ではない区教審の委員が審議することにより、かえって手続きが煩雑になるとともにその信頼性にも懸念があります。改めて一から調査・研究し、根本的な見直しを求めます。
都市内分権を推進していくこと自体は、正しい方向性であると認識しております。しかしながら、本予算案にもある(仮称)区民ボードの設置や区教審による区域での教育課題の解決など、区の権限強化を図る観点から、区長に権限と財源を渡せば渡すほど、最終的には区長は公選制によって選ばれるべきという結論に達することが目に見えてまいります。区長公選制の有効性は明らかなのです。
以上、いろいろご指摘を申し上げてまいりました。
最後に申しあげます。
昨年末に全国公開された映画『利休にたずねよ』は、千利休のふるさと堺として市当局が大々的にPRを行ってきました。しかし、そのストーリーの本筋は史実に基づかないものが散見され、加えて堺市の人権政策に照らしても重大な懸念が考えられます。
また、先日には堺市がセレッソ大阪のホームタウンに決定しましたが、堺原理主義者である竹山市長の判断とは到底思えません。そのチーム名が『セレッソ大阪堺』ならまだしも、このままでは堺のアイデンティティーを無くしたのも同然だと思います。
セレッソ大阪は、開幕間もないJリーグにおいて話題を独占する人気クラブになっていますが、映画『利休にたずねよ』同様に話題を提供するなら何でも良いとする堺市の政策には辟易といたします。
竹山市長におかれましては、これまで改革姿勢を唱えられることもあったかと思います。しかしながら、実際には、基本的なまちづくり、少子高齢化、財政など、今の時代が抱える構造的な問題につきましては、広域的な視点が欠如していることが明白であり、加えて既得権益と戦う姿勢とともに、この困難な時代に84万の堺市民の信託に対し、責任を背負って立つのだということを、痛切に認識して、市政運営に臨んでいただかなければならないと考えます。
以上の事柄を考慮しますと、市政の2期目を迎え、まちづくりや具体の諸事業につきまして疑問を払しょくすることができず、市政運営にも強い改革姿勢が見られることなく、広域的な視点にも欠けていることから、議案第1号平成26年度堺市一般会計予算につきましては反対の意を表明いたします。なお、その他の議案につきましては賛成の意思を表明し討論といたします。